民法の使用者責任にご注意下さい(2024/11/18)
民法第715条は使用者責任を規定しています。
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2.使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3.前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
この条文について、留意すべき点を記載します。
・「被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任」は連帯責任と解されています。したがって使用者自身が不法行為をしていなくとも連帯責任を負うことになります。
・「使用」とは雇用関係に限らず、実質的な指揮命令関係があればよいとされています。
・「相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。」
とありますが、相当の注意をしたかどうかは使用者が立証しなくてはならず、困難です。
・全体として、「報償責任の法理」で規定されています。つまり利益があるところに責任を負わせようという趣旨です。
以上から経営者の方には十分ご注意していただきたいと考えます。